ホステルにロングステイしている旅人の中にフランス語を話すアラブ系の顔立ちをした男がいる。 夜になると、いっつもキッチンや共同部分をうろちょろして誰かと話して、すぐにバイクに乗ってどこかへ行ってしまってまた戻ってくる、とにかく言動は落ち着きがなかったけど、話してみると人の話を最後まで聞いて考えて返す、ギャップがある男だった。
そいつはいつも夜中になるとホステルの周りでフランス語を話す人達とつるんでいて大体午前3時くらいに部屋に戻ってきて朝の9時にはもう居なくなっている。一体どこで何をしているのか謎なやつ。
いつも食べ物は何処からか買ってきたものをレンジでチンして食べたりしていて、もう6ヶ月も一緒にいるけど彼がキッチンで何かを料理しているところを一度も見た事がない。
挨拶をしたり、軽く会話をしたりするけど未だに彼が何を考えているのか全く分からない。たまに共用スペースの大きいテーブルでパソコンに何かポチポチ打っていたのを覗いたことがあるけど、そこには電話番号のような何桁かの数字が何行もスクリーンの上から下まで表示されており、それを見て彼のことがもっと分からなくなった。 (まあ、移民のフランス人特有の何か人の電話番号を抜き取って色々と悪さをするやつなんだろうけど、、)
彼と今まで一緒の部屋になったことはなく、は今まで僕と違う部屋で
「一体どういう寝顔をしているのか」 「どんなスーツケースや荷物を持っているのか」
分からないまま一緒に暮らしてきた。(ホステル経験者あるあるでこういう事意外と気になる。)
彼は僕が暮らしているホステル以外にも、キングスクロス周辺にあるホステルにコロコロ移りながら生活していた。(僕が住んでいるシドニーのpotts pointは色んなホステルが存在していて、シーズンで値段が高くなったら違うホステルに行って安くなったらまた戻ってくるという事をする人もいる。)
そんなある日、いつものように2週間くらいして彼がここのホステルに戻ってきた時に部屋が一緒になった。
もともと深く関わっている訳ではなく挨拶程度の関係だったので、彼が部屋に入ってきた時はアゴで挨拶をして握手をしただけだった。 (前から話したかった奴だったから、嬉しさを表現しようとしたけど、彼の内面にある落ち着きを壊して、しまうのが嫌だったので僕もクールに対応していた。)
彼の荷物を見ると、小さなボストンバック1つだけ。それをひょいと抱えながらベットに置いて、アンパッキングするために中から歯ブラシ、タオルのセットを取り出してベットに引っ掛けてまたどこかへ行ってしまった。
「荷物それだけかよ。アンパッキングも早いな」
前にアイルランドの女子二人組が化粧品やら、クラブに行くための服やらブーツやらを部屋の床に撒き散らかしてキッツイ臭いの香水も漂わせて最悪だったんだけど、そんな人たちとは真逆だった。
彼はまたそこから一週間すると他のホステルに行くらしく、ボストンバックをひょいと抱えて行ってしまった。本当に心も体も身軽そうだった。
「荷物が少ないとそのことを考えなくて良い。その分のエネルギーをもっと他のことに使えるから絶対こっちの方がいい。俺も荷物減らそう」
彼の身軽な生活を見て僕もそう思った。
年単位で海外を放浪していると、何を買うにしても
「スーツケースに入るかな」
とばかり考えてしまう。だから物を買うのをやめて長持ちできる生地の服装、スタイル、物にごっそり試行錯誤をしながら変えていったんだけど、彼の影響でスーツケースも辞めようと決めた。
今考えると、旅に来ているのにスーツケースをゴロゴロと転がしてホステルにチェックインしてくるのは、かなりみっともないというか、「私は旅の初心者ですよ!」と自分から宣言しているようなもので、みっともない。
ホステルに長期で生活をしていて、いろんな旅人に会って来たけどこれは何年経っても変わらない考えの一つだ。
大体ヨーロッパの旅人はボストンバック、もしくは大きいバックパックを後ろに背負って、小さなバックを前に背負ってくる人も非常に多い。
前に日本人の旅人がでっかいスーツケースを2つ運んできて、さらには炊飯器を前に抱えていた。
こういう人間は多動で野生っぽい男女が集まったホステル生活で生き残れるわけがないと感覚的に実感している。
「四角くて大きい物体のチャックを開いて、床に置いて、荷物を中身から出して、、」
旅行に来た訳じゃないんだから、彼みたいにヒョイと荷物を抱えて、パッと移動できた方が、格段にストレスフリーになるし、かっこいい。
今までどんだけ僕の脳のメモリを荷物のことで加えれてきたんだ。もう懲り懲りだ。
彼のスタイルを見て、かっこいいと思ったし、スーツケースはもう金輪際終わりだ。そう決めた。
せっかく他の国に移動してきたのに荷物の事ばっかり考えていると本末転倒だ。もっと身も心も軽くして、移動準備を早くして、今現在の物事や経験に集中するために。
僕はスーツケースに、40Lのバックパックひとつ。
ボストンバック一つって旅慣れている感が出ていてかっこよかった。スーツケースをすぐに捨てたくなった。
彼が違うホステルに行き、またここのホステルに戻ってきた時にちょうど自分と同じ部屋になった。(自分が住んでいるシドニーのpotts pointは色んなホステルが存在していて、シーズンで値段が高くなったら違うホステルに行って安くなったらまた戻ってくるという事をする人もいる。)
そいつはいつも夜中になるとホステルの周りでフランス語を話す人達とつるんでいて大体午前3時くらいに部屋に戻ってきて朝の9時にはもう居なくなっている。一体どこで何をしているのか謎なやつ。
いつも食べ物は何処からか買ってきたものをレンジでチンして食べたりしていて、もう6ヶ月も一緒にいるけど彼がキッチンで何かを料理しているところを一度も見た事がない。
挨拶をしたり、軽く会話をしたりするけど未だに彼が何を考えているのか全く分からない。たまに共用スペースの大きいテーブルでパソコンに何かポチポチ打っていたのを覗いたことがあるけど、そこには電話番号のような何桁かの数字が何行もスクリーンの上から下まで表示されており、それを見て彼のことがもっと分からなくなった。
話を戻して、そいつが部屋に入ってくると、大体みんな自分を含めスーツケースを部屋に置いているんだけど、そいつだけ大きいボストンバックと小さい歯ブラシなどが入っているであろう小物入れだけ持って部屋に入ってきた。
「かっこいい」「心も体も身軽そうで良いな」
これが彼の荷物を見た時に感じた第一印象だった。
彼はまたそこから一週間すると他のホステルに行くらしく、ボストンバックをひょいと抱えて行ってしまった。本当に心も体も身軽そうだった。
そこから月日が経ち、自分の部屋のルームメイトもコロコロ変わり、シドニーの季節も秋になりかけてきた頃に秋服何買おうかなと考えるようになり、その影響でスーツケースの荷物の事を一日の中で何度か考えるようになった。「ジーンズ買おうかな、でもスーツケースかさばるからな」みたいに。
そんな時にふとあいつのボストンバックの事を思い出した。
「あんな風にスーツケース無しで移動できたら心も体も軽いだろうな。。」
2年前日本の実家に住んでいて カナダワーホリの準備をしている時に今まで持っていた所有物を沢山捨てた時の快感を知っているから、自分もスーツケースすら捨てて次のステージ、つまりボストンバックのみで生活できるようになったらもっと気持ち良いいだろうなと思い始めた。もちろん彼の影響で。
定期的に移動する生活をしている人でスーツケースを持っている人なら共感できるかもしれませんが、大きいスーツケースがあるだけで、精神的に疲れるというか、脳のメモリが消費されてしまっているような気がしませんか?移動する時の事を考えると「あああ」という気持ちになる。
あと、ボストンバックだったらスーツケースよりも旅にこなれている感じがして良いし、何だか映画で特殊任務を遂行するスパイみたいな人が飛行機に乗って色んな国へ仕事に行く時の荷物も大体ボストンバックという僕の中のイメージがあるからなおさら惹かれる。。
自分は一体どんな荷物を持っているのかというと、スーツケースと大きいノースフェイスのバックパック。中身は日常で必要最低限のものに加えてシャツやt シャツが沢山ある。スリフトストアなどにいくと、「この生地でこのデザインの服はもう中々出会えないかもしれない」と思うと、必要不可欠なものではないけどついつい買ってしまう。
その影響でニュージーランドに住んでいた時は半年で買い物かご4個分くらいの服がスーツケースと大きいノースフェイスのバックパックに入らなかった。その時に住んでいたシェアハウスから追い出され、次の住む場所に移動する時にそれらを全部友達にあげたりしていた。その内のチリ人の友達2人は一年たった今でもストーリーを見ると自分の服をたまに着てくれている時があってとても嬉しかった。
でもだからと言ってまた大量の服を買ってそれを友達にあげるのはお金と時間が勿体無いし、いちいちパッキングしている時間を取られたくない。冒頭に書いた彼のような移動の速さになりたい。荷物の事を考える時間をなるべく減らして自分のやるべき事にずっと集中していたい。
だからかさばるフーディーとかを買わずに、薄くて畳むと小さくなるアウトドアジャケットみたいなものを買おうと思っている。パンツもジーンズよりももっと薄い生地のやつを探してみようと思う。
ここまで色んな事を書いてきて一体何が言いたかったのかというと、荷物をボストンバックに収まるくらいの量にしてパッキングの時間を無くすと心も体も本当に身軽になって自分の集中するべき物事にもっとエネルギーを割くことが出来るのではないかということ。必要なものが入らなくても現地で調達すればいいし。
そして実際生活していると、必要最低限なものだけ持ってきたはずなのに半分近くは日常的に使っていない事も分かってるから、ボストンバック一つで本当に十分なんだろうなとも思っている。(ボストンバックに実際に全て収まったら中には何が入っているのかについてまた他の記事として書いていこうと思う。)
とりあえず自分はあいつみたいに常に少ない荷物で生活して移動する時は断捨離とかパッキングとかいう時間をわざわざ作らなくてもすぐにパッと準備を完了させられるようなスタイルになりたい。せっかく他の国に移動してきたのに荷物の事ばっかり考えていると本末転倒な気もする。もっと身も心も軽くして、移動準備を早くして、今現在の物事や体験に集中するために